舗装技術の質疑応答 第10巻

久保 和幸監修
荒尾 慶文・村山 雅人 編

A5判 310ページ
定価 4,180円(10%税込)
(2010年5月発行)


まえがきから

本書は,既刊の「舗装技術 の質疑応答」第9巻に引き続き,平成16年12月号から平成21年1月号の雑誌「舗装」に掲載された質疑応答特集を集大成,編集したものである.雑誌「舗装」の質疑応答は,舗装技術者として第一線で活躍 されている方々のた めの技術的な相談の場として設けられたものである.従って,その内容は舗装技術の基本に関するものから時代を反映した最新の技術に関するものまで多岐にわたっているが,本書 第10巻の特徴は以 下のとおりである.近 年の環境に対する関心の高まりを反映し,7章「環境対応技術」を章立てした.ここでは,地球温暖化に影響を与えているとされる二酸化炭素の排出削減対策に関するものや,熱環境対 策,騒音・振動対 策,他産業発生材の再生利用などについての解説がある.昨年9月,わが国は国連気候変動サミットにおいて,日本の温暖化ガス削減目標について「2020年までに1990年比で 25%削減を目指す」 と表明した.これを受けて,舗装においてもこれまでに増して環境への配慮が求められるものと思われ,時宜を得た内容となっている.また,周知のように平成13年の「舗装の構造に関する技術 基準・同解説」の発 刊により,舗装にも性能規定が取り入れられた.本書の対象である平成16年以降,平成18年に「舗装性能評価法−必須および主要な性能指標の評価法編」,続いて平成20年には 「同・別冊−必要に 応じ定める性能指標の評価法編」,平成19年には「舗装調査・試験法便覧」が発刊され,性能に関する評価および試験方法も整備されてきた.その他,平成18年に「舗装設計施工指 針」および「舗装設 計施工便覧」の改訂があり,同年「舗装設計便覧」が新たに発刊されるなど,相次いで基準図書類が整備された.そこで,本書においても性能評価方法のいくつかを取り上げ,詳しく解 説を行っている.こ れらのことを反映して,9章「品質管理・試験」に取り上げた内容が多くなっているのも本書を特徴づけている.本書の原文は,雑誌「舗装」の編集委員を中心に作成してい るが,最新の情報を 汲み上げるべく,一部はその分野に精通した専門家によるものである.また,雑誌「舗装」に掲載された時点から,機関名や社名の変更,基準図書を含む参考図書の新刊発刊,法令 や基準等の変更など 変わったものもある.しかし,本書の編集にあたっては混乱を避けるため敢えて原文のままとし,誤りのない限り修正は行っていない.最後に,本書原文の執筆にあたられた方々なら びに資料等をご提供いただいた方々とその機関に対して厚く御礼を申し上げる次第である.

編 者 荒尾 慶文  村山 雅人



詳細目次


1章 設 計

1―1 性能指標の取扱いについて
1―2 路床の暫定破壊規準の根拠  
1―3 信頼性によるTAの意味と根拠 
1―4 改質アスファルト混合物の等値換算係数  
1―5 アスファルト舗装表・基層の合計最小厚の根拠  
1―6 DS,わだち掘れ量と供用期間の関係式の根拠  
1―7 AASHTO 2002 Design Guideの改訂内容 

2章 材 料
2―1 最近の常温合材の種類・用途・適用箇所 

2―2 最近の改質アスファルト乳剤  
2―3 タイヤ付着抑制型乳剤の機能性 

3章 施工と機械
3―1 フィニッシャやローラの適正施工速度の決定方法  
3―2 縦断勾配が厳しい箇所の施工 
3―3 クローラ型振動転圧機  
3―4 インターロッキングブロック舗装の施工上の留意点 

4章 路床・路盤
4―1 プレクラッキング工法の概要 
4―2 高地下水位の路床構築における凍上対策 

5章 アスファルト舗装
5―1 アスファルト舗装の機能性評価 
5―2 アスファルト舗装用素材としての望ましい性状 
5―3 アスファルト混合物のはく離について  
5―4 既設アスファルト混合物の耐水性評価方法 
5―5 アスファルト混合物の剥離対策 
5―6 層間剥離の探査方法  
5―7 透水性能の指標と基準値 
5―8 再生アスファルト混合物の劣化評価  
5―9 再生混合物の課題と検討状況 

6章 セメントコンクリート舗装
6―1 連続鉄筋コンクリート目地の補強筋
6―2 コンクリート舗装での再生骨材の利用  

7章 環境対応技術
7―1 舗装におけるCO2削減対策とその評価方法  
7―2 アスファルト混合物製造時のCO2削減策  
7―3 熱環境対策舗装の評価 
7―4 振動低減機能を有する舗装 
7―5 他産業発生材の再利用技術 
7―6 建設機械の騒音対策 
7―7 舗装と環境関連の法律


8章 各種の舗装
8―1 鋼床版上のSFRC 
8―2 橋面舗装打換え時の残存アスファルト混合物の影響
8―3 透水性舗装と排水性舗装の概要  
8―4 透水性舗装の実用化に向けた取組み 
8―5 道路路面雨水処理マニュアル(案)の概要 
8―6 SMA施工上の留意点  
8―7 ハイブリッド舗装  
8―8 カーペットコートについて 
8―9 脱色アスファルト等で生じるひび割れ 
8―10 インターロッキングブロックの再生利用 
8―11 土系舗装の現状と課題 
8―12 すべり止め対策と縦断勾配について
8―13 建物の屋上の舗装の注意点 

9章 品質管理・試験
9―1 CBR試験の突固め回数 
9―2 現場密度試験の使い分け 
9―3 路床安定処理工の品質管理基準  
9―4 アスファルト混合物のかさ密度測定方法 
9―5 真空パック法と体積換算係数
9―6 橋面舗装の密度管理方法  
9―7 動的安定度と塑性変形輪数 
9―8 骨材飛散抵抗性の評価試験  
9―9 透水試験とその留意点  
9―10 DSRを用いた新しいバインダ評価方法 
9―11 半円状切取りコアの曲げ試験  
9―12 簡易な縦横断形状測定装置  
9―13 IRIの適用性  
9―14 IRIと平たん性の関係  
9―15 IFIと算出方法  
9―16 アスファルト混合物層の平均温度推定方法 
9―17 平均照度換算係数と輝度・明度の関係  
9―18 再生混合物の印字管理  

10章 その他
10―1 凍上災について