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漫画で学ぶ舗装工学−基礎編− 阿部忠行・稲垣竜興著 |
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主要目次 |
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この本を手にされた方に
舗装工学を学ぶのに どうして漫画で,と言うことについて お話しします.「やさしい」「わかりやすい」などの触れ込みが付いていても,技術の専門書は一般に取っつき難いことが多いようですが,その理由を考えてみますと………. 専門的な技術は,多くの知識の積み重ねで成り立っていますので,これを説明するのに,どのレベルから始めたらよいかが問題になります.著者にとっては説明も要しない初歩的な事項であっても,そこで引っかかった読者は,「やさしい」筈のその先も難解なものと決めてかかってしまいます.こうなる原因は,著者と読者が同じレベルに居ないからだと思います.一緒に対話しているならば,相手の理解を確かめながら,話を進めることができましょう.そこで私たちは,舗装技術を漫画という手段で,会話を通じて記述することを試みました. 漫画には,絵と言葉を通じて,読者が主人公として物語りに溶け込めるといった特徴があります.専門的な内容も読者自身が一緒に考える,すなわち参加意識が未知の技術に対する不安感を取り除いてしまう魔力があるようです. 本書は,舗装工学について高度の内容を平易に解説するという難題に,敢えて漫画で取り組んだものですが,一般の方々から舗装技術者にまで楽しんで頂けるよう工夫してあるつもりです. この本を読んで下さったあなたが,舗装技術の面白さに気付かれたなら,私にとってこれほど嬉しいことはありません. 1996年8月 多田 宏行 |
本書の読み方
本書の目的は,一般の道路利用者から舗装技術の初心者,さらには舗装技術にかなりの経験を有している方までを対象とし,「舗装」の面白さ,技術の深さなどを知って頂くことにあります. 「舗装」の技術やその使い方の全般を紹介するには,範囲が非常に広いため,1巻では納まりきれません.そこで全体を3つに分け,「各種の舗装編」,「基礎編」および「舗装とその管理編」としました. 「各種の舗装編」では,最近の時代の要請に合わせて,主として特殊な機能や構造を持つ舗装を紹介し,舗装が我々の生活にどのように関わっているか,どんな役割を果たしているかをまとめました. 「基礎編」では,いろいろな舗装がどのように構築されているのか,今後どのような方向に発展していくのだろうかといった,主として考え方やその背景を,舗装の歴史を含めて分かりやすくまとめました. 「舗装とその管理編」は現在鋭意執筆中ですが,前2編で書ききれなかった実用面での技術と,今後増大してくる管理のあり方等について紹介する予定です 本書に示している技術的な内容は,すべてがデータや経験・理論に基づいたもので,実際に技術者がこの内容を活用できるように配慮しました. ページ下段に示す「用語の解説」や「一口メモ」は,活用の範囲を広げて利用していただけるように編集してあります. 舗装をテーマに物語が展開していきますので,ストーリーを楽しみながら舗装技術の世界に入ってください.きっと今までにない世界が見えてくることでしょう. 著者 |